薬学部1年生の皆様へ〜薬学部の勉強と成績について①〜

薬学部前期が終了しました。薬学部での勉強に戸惑っておられる1年生も多いかと思います。清光では、薬学部1年生の皆さんへ留年しないための勉強法についてのセミナーを実施しました。

薬学部モデルコアカリキュラムの改訂

薬学部では、2024年度、すなわち今年度に、2015年度に改訂された薬学教育モデルコアカリキュラムの2回目の改訂が行われました。この改訂が薬学部生の皆様の勉強にどのように影響するのかについて説明します。

①予想される変化:薬剤師国家試験
→基本的な薬学の知識は実務実習前の共用試験CBTで問い、薬剤師国家試験では臨床薬学を意識した応用的な知識を問う
👉CBTを受ける4年生までに基本的知識をしっかりと身につけておく必要がある

②予想される変化:授業科目
→新しい科目の設定、従来の科目の大幅な変更、教員の変更により定期試験で過去問が通用しない
👉テスト前の直前の勉強だけでは定期試験の点数が取れない。毎回の講義内容でコツコツと勉強をしていく

1年生の勉強の重要性

上記の分布図から分かるように、入学時の成績と卒業時の成績はあまり関係がありません。しかし、1年生の成績と卒業時の成績には強い相関があることがわかります。
→1年生後期から始まる基礎科目が将来の成績に大きな影響を及ぼすと考えられる


👉1年生のうちに基礎科目を完全に習得し、薬学専門科目の基礎を完成させることが重要

生物学の勉強について

高校生物
大学の講義では高校生物の発展から、専門的な知識まで身につける必要があるため、広範囲での理解が必要となりますので、高校の生物の選択の有無に関わらず、勉強は必須となります。

生物履修者と生物未履修者について

(生物履修者と生物未履修者の4年生時点での成績を比較したグラフ)

上記のグラフからでもわかりますように、生物未履修者は、ほとんどの科目において生物履修者より成績が低く、特に生物系薬学の成績が著しく低いことがわかります。

高校で生物を履修していない学生は、1年生後期で受講する生化学や機能形態学などの講義で、生物系特有の用語や表現に慣れてなくて講義内容を完全に理解できないまま進んでいって、生物を履修した人とのギャップを埋められないまま、むしろ他の科目にも拡大していったのではないかと思われます。実際に生物の講義では、カタカナの専門用語が多く、組織レベルから分子レベルまで広い範囲で覚えておかなければならない知識が多くあります。全く生物を履修してこなかった人にとっては、講義を聴いていても、外国語を聴いているようで全く理解できないという学生もおられるようです。

注力すべき勉強ポイント

★遺伝子の複製・転写・翻訳・発現、蛋白質の立体構造や酵素としての役割、ヒトの肝臓や腎臓などの臓器の役割、神経の伝導と伝達、ホルモンの作用、細胞内小器官の種類や役割など、基本的な生物の知識は、夏休みの間に身につけて、後期の生化学や機能形態学や生理学や薬理学の講義で出てくる専門用語にもなれておくと大学授業が理解しやすくなります。

★酸性アミノ酸としてのアスパラギン酸とグルタミン酸、そのアミド誘導体としてのアスパラギンとグルタミン、塩基性アミノ酸としてのリジン、アルギニン、ヒスチジン、脂肪族アミノ酸としての、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、二級アミノ基を持つプロリン、芳香族アミノ酸としての、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、硫黄を含むアミノ酸として、システイン、メチオニン、OH基を持つアミノ酸としてセリン、トレオニン、チロシンなどです。

※高校生物だけではなく、高校物理、高校化学の内容も完全に理解する必要があリます。
(各科目において特に重要な範囲は清光学院公式YouTube薬学部セミナー動画をご覧ください)

勉強法について

勉強法:忘れない記憶=長期記憶

「思考する」 → 「理解する」 → 「記憶する」

この3つを意識しながら勉強することが重要

短期記憶:記憶力しか使わない勉強は短期記憶にしかならず、CBTや卒試、国試に対応できる応用力にはならない

長期記憶:自分で描き出したイメージは長期記憶に落とし込まれ、忘れにくくなる

◉学んだことを長期記憶にするには…

①講義プリントを覚えるは×
👉自分で要点をまとめ、流れを理解する作業を行う

②講義内容を講義当日に理解する(ノートの取り方を工夫するなど)

③常に基礎の理解を重視する
必要に応じて、高校の内容まで遡って知識の確認をすることが必要

薬剤師国家試験を意識する。
・薬学全体のカリキュラムを把握でき、現在自分はどこを学んでいるかを理解できる
・授業の復習と予習に活用することで効率的に学習できる

清光の薬学部進級個別講義では、上記を実践するために、大学教員等の専門家が個別授業を実施し、単なる科目の勉強だけではなく、自主的な勉強スタイルを構築するための思考法を訓練しています。
正しい知識を正しく理解し、理解を深めるためには専門家から学ぶことが重要です。


正しい勉強法で成績が伸びると勉強が楽しいと感じるようになり、記憶力が更に伸びる傾向があります。

薬学教育コアカリキュラムの改正による変化やポイントを理解し、CBT受験までに正しい勉強方法で基礎知識を身につけましょう。また、薬剤師国家試験を意識することも大切です。留年を避けるためにも普段の講義からしっかりと学び、ノートの取り方や学習方法を工夫して勉強しましょう。

この記事をSNSでシェアする

同じ学部の記事